「いわゆる小説である」15分で作る即興小説(ショートショート)

武器のようにも扱える細長く雨から身を守るもの。いわゆる傘を盗まれてしまった。
盗んだ相手に対しては胸が熱くなり体が震えるほどの感情。いわゆる怒りが湧き上がってきた。
天から注がれし幾多もの水の粒。いわゆる雨を浴びながら帰宅していた。
すると、途中で世間話をしている複数の人がいた。いわゆる井戸端会議である。
雨の中で談笑とはすごいなぁと思うとそのうちの一人。いわゆる泥棒が、武器のようにも扱える細長く雨から身を守ることのできる私のものであったはずのもの。いわゆる私の傘を持っていたのだ。
その人物に対して私は胸が熱くなり体が震えるほどの感情と怒りと憎悪を持っていた。いわゆる殺意である。
私は近くにある石。いわゆる鈍器を手に取り力強く殴った。いわゆる殺人である。
何度も殴った。いわゆる明確な殺意である。力強く殴った。いわゆる殺人である。
私は肉体から弾け飛ぶ液体を、ぽつりぽつりと体に染み込ませていた。いわゆる血の雨を浴びていた。
たかが傘である。されど傘である。大事な傘である。
たかが武器のようにも扱える細長く雨から身を守るもの。されど武器のようにも扱える細長く雨から身を守るもの。大事な武器のようにも扱える細長く雨から身を守るもの。
いわゆるその傘には私の想いがつまっていた。いわゆる恋心である。
何気なく渡されたあの人からの武器のようにも扱える細長く雨から身を守るもの。いわゆる想い人からの傘は私にとってはもはやそのもの。いわゆる恋人であった。
冷静さを取り戻した私はその場でうずくまって吐いてしまった。いわゆる罪悪感である。
ソレは泥にまみれていた。ソレとはいわゆる傘である。他にもソレは泥にまみれていた。いわゆる遺体である。
人生で一番つまらないことをしてしまった。いわゆる犯罪である。
これから罪を償うのだが、こんなことで殺人を犯したということのほうが辛かった。
いわゆる後悔である。

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ぬるきん(あずま)

身売り顔出し担当偏差値6億.com
無職で自分を切り売りしているおじさん。 女装したりタンバリンを叩いたりしながら生きています。 ワインで頭を洗えば、僕のファンができた時にファンの皆様が飲シャンしやすいと思うのでずっとワインで頭を洗っています。

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