「神と紙と、その元に珈琲を」15分で作る即興小説(ショートショート)

お題は以下の3つです
敬語
泡立つ
無断転載

以下本文
———————————-

無断転載は悪だ。
創作をしたものや作品そのものに対してリスペクトがない。私はそう考えている。

創作者の努力が泡となり弾けて消える。外部からの圧力などの様々な力により泡立ち弾けていく。本来の作品では見られなかった模様や、雰囲気、音が聞こえてしまう。

神は怒りに満ちていた。人類にとって大事なことの一つに創作能力があると考えていた。その創作をするための意欲を削ぎかねない。無断転載は悪なのだ。とにかく悪なのだ。悪なのだ。ムキーッ!!!!

神はおかしくなった。無断転載をやめさせるために無断転載をされた作品を文字通り泡にすることにした。

神はおかしかった。本来であれば、無断転載をしたコピー側が消えるようにしなければいけないのに無断転載元の作品の存在を消すようにしてしまった。

この処置をとった神は「流石にやらかしてしまいました」と、一言だけ残して天界を追放された。現在は味噌汁を小田原駅で作っては配っている。好評らしいですよ。

これが、ここの喫茶店となんの関係があるんですか?無駄話?
マスターの話を聞いていた上野は全く理解できず苛立っていた。
本当に何もわからなかったのでカプチーノを頼んでぼーっとすることにした。
マスターは絵を書き出した。2000年代前半の目の大きい萌絵を描いた。1分で描いた。
これが「ワンドロ」ってやつか!上野はマスターの粋なサービスに惚れ惚れしていた。
マスターはその絵をスキャンしtwitterに投稿した。

次の瞬間。全くマスターと関係もなければ面識もないアカウントが自作絵発言を加えパクツイをした。無断転載の発生である。

その時、淹れたて珈琲の上に覆いかぶさるように乗っていた萌絵が泡となってマグカップの中に溢れ珈琲の上に浮かんだ。
上野は感動のあまり涙を流した。こんなに神秘的なことがあるのか。Sサイズ100円のコーヒーでこんなに感動を味わっていいのか。物価の下落に様々な思いを巡らせながら一口コーヒーを啜った。上野が言った。

「まずいっすね」

ソレを聞いたマスターがソーサーを拭きながら言った。

「元は紙とインクだからねw」

上野は感動が吹き飛んだ。100円損したとまで思った。物事の過去の推移や過程が良くても結果がカスならば、どうしようもないのだな。そう思いながらも上野は何も考えずにこう口走っていた。

「依頼いいすか?さっきの絵柄で私のオリジナルキャラクターエッセンス渡辺がアイスクリームを私に向かって渡してくる絵を書いてください」

「受諾しました」

こうして無断転載されないようにひっそりと絵のやり取りは行われるようになった。アナログ絵の味は奥深いのであった。

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あずまさん

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