パチン!パチン!
パチン!と音を立てながら一人で将棋盤と向き合う。
二人で行う将棋もいいものだが、一人で行うそれもとてもいいものだ。
パチン!……?
一手戻そう……
長年この詰将棋だけ解けない。記載されてる手数で詰めることができない。
あの頃はそうだった。皆で決めたことから少しでもプランが逸れると私は何もできなくなる。無力だった。
自分自身を見てみる。そこにいるのは大きくも小さくもないただの生命であって。
それ以上でもそれ以下でもないただの生命だった。他の仲間も等しく同じ。相手も同じ。だから争いは起こる。己の正義同士のぶつかり合いとして争いごとは起こる。
相手と和解したときには互いに半分以上の戦力、いや命を失っていた。
愚かだ、愚かだと常に感じていた。私の中にある思いは暗く濁りいつしか私を覆い尽くしていた。常に狭い空間に引きこもり遊びに興じるようになった。
ある日、隕石がどーん。
地表ドカーン
森林ゴオオオオオオオオオオオオオ燃えて、大陸はめちゃくちゃ。
大変ですね……
「お茶だよ~」
「あ、ブラキオ君ありがと~」
ブラキオサウルスのブラキオ君はの~んびりと生活している。
プテラノドンの僕も今はゆっくり羽を広げて将棋が打てている。たのしーですねこれは。
隕石が落ちたあの日、僕は翼竜の癖に地下に引きこもっておりブラキオ君は僕を介抱してくれていた。当たりどころが良かったのかは分からないが外で大きな音が聞こえたら僕たちは「日本」というところの草原にいた。狭い草原だった。少し歩くと自分たちの体の何倍もある岩がきれいな形で並んでいて驚いた。ブラキオくんも首をながーくして驚いていた。
初めて見る生命体の「人間」とやらは僕たちと同じくらいの大きさで、僕たちと同じ体をしていた。隕石が落ちてきてから僕達は自分たちの体に違和感を覚えているが、多分引きこもりによる運動不足なのだろう。外に出てからは体が軽い気がしてとても良い。
こんかふぇとやらのすかうとってのもされたし二人でそこで遊ぶとご飯が食べられるようになるらしい。たのしみだ~!
お茶をすすり盤面を片付け、僕はブラキオ君と将棋を指し始めた。
お題
将棋盤 自問自答 プテラノドン
16分で完

あずまさん

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