「我は大理石」15分で作る即興小説(ショートショート)

今日も一人。また一人と我が大地を踏みしめるものがいる。
我は高貴な存在なのだ。もっと大切にしていただきたいものである。

大理石を加工してできた我は、広い部屋を彩りつつ様々なものを支える大地となった。
他の床とは違う。我はもはや大地なのだから。

ある日、見たことのない顔の人間が我の上を歩いていた。それも険しい顔で。ドタバタと。
この空間でそんな顔も行動もしないでいただきたいものだ。
しかし、理由があった。

外は更地になっているらしい。誰のものでもない土地が果てしなく広がっているらしい。

確かに、我はこの数年間生まれてからほぼ孤独に過ごしてきた。

それなのにここ数週間は人の出入りが激しい。おかげで傷もついてしまった。
まぁ、これは大地として生を受けた以上は仕方のないことなのであろう。

「シェルターがなかったら俺たちも……」
「もう、考えるのはやめましょう。今は私達二人でどう生きていくか。そこを考えなきゃ。」
「確かにそうだな……。それにしても不釣り合いな内装にしちまったな。」
「コンクリートむき出しは嫌だからって壁紙を貼ろうって言ったのは貴方でしょ?」
「むぅ……。近くの店にあったのはこれが一番マシだったんだよ。」
「どうだか。今は気が紛れていいけどね。」
「フォローありがとさん。」

えっ?ぼく、こんくりーとなの?えぇ……
コンクリートなのかぁ……

「悲しいの、わかるよ。」

だれですか!

「我は漆黒の闇より舞い降りし、堕天使のキメウェル……」

そういうのいいんで。

「はい。前田です。あなたを大理石にすることができます。」

まじ!?!?!?うれしい!!!!!

「しかも、過去にさかのぼって。あなたが自我を持ったときから。」

お願いします!!!!!!!!!

「えいっ」


シェルターは大理石製になった。

彼は相変わらずナルシストな性格でじっと生活していた。

ある日、世界は化学兵器で汚染され破壊された。

このシェルターは機能しなくなった。

破壊された。

この世に存在する生命体はもういない。

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ぬるきん(あずま)

身売り顔出し担当偏差値6億.com
無職で自分を切り売りしているおじさん。 女装したりタンバリンを叩いたりしながら生きています。 ワインで頭を洗えば、僕のファンができた時にファンの皆様が飲シャンしやすいと思うのでずっとワインで頭を洗っています。

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